日本の議論

PTAは必要か?…暗黙ルール「全員参加」の酷、「平日お掃除会」「ハンドベル」とは、高まる議論

平日の昼間に会合なんて

 PTAは、保護者と教職員が協力して子供の健全育成を図る社会教育関係団体。学校単位で組織され、体制や運営方法に違いはあるが、本部役員のほか広報や校外、学年・クラスなど各種委員会が設置される。原則、任意加入であっても、都市部では子供の在学中に必ず一回は引き受けるのが暗黙のルールとなっているところが多いようだ。

 活動が平日でも、共働き家庭が免除されるわけではない。小学6年の1人息子がいる東京都の会社員、小林加代さん(49)=仮名=もクラス委員を経験した。「大変なのは平日の委員会。専業主婦のお母さんたちは平日に集まろうとする」。小林さんが平日の会合を乗り切れたのは、クラス委員が1学級2人体制だから。もう1人が同じように働く母親だったので、都合の悪いときはカバーし合うことができたという。

 東京都の会社員、鈴木聡子さん(37)=同=は小学6年の長男が4年生だった一昨年、下の子供の育児休業中で「今なら平日の集まりに出られる」とクラス委員を引き受けた。しかし、下の子が小学生になったときは同じ手が使えない。「他のお母さんたちと雑談するのが大事だから、お父さんが加わるのは難しいでしょうし」と悩む。

 不要と思われる活動が多い点を指摘する意見もしばしば聞かれる。地域の自治会長や議員、首長も参加した新年会で本部役員たちがハンドベルを演奏したことを広報誌で知り、「余興の練習に時間を費やすなら絶対に役員をしたくない」という母親もいる。

 「PTAが何のためにあるのか分からない。保護者同士のコミュニケーションを図っているだけで、子供に還元されない」と話すのは奈良県の教員、田中明子さん(46)=同=だ。

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