ソニーは02年ごろ開発。この難燃剤は分子の構造上、混合されたプラスチックに混ざりやすく、均一に分散する。このため、リン系など他の難燃剤では全体の2割程度混合させる必要があるのに対し、1%未満で済む。その結果、再生材使用率99%を実現したという。添加が少量で、プラスチックの持つ本来の機能を邪魔しないため、衝撃への耐性などについても、高い機能を持つ樹脂をつくれるようになった。
ソニーは難燃剤の開発に続き、これらの材料をさまざまな比率で配合することにより、多様な性質を持つソープラスをつくることに成功した。引っ張る力や曲げる力に対する剛性の高さ、衝撃への強さ、燃えにくさ、油分への耐性などがそれぞれ異なる。例えば、ユーザーがデジタル録画双眼鏡やデジタルカメラをハンドクリームを触った手で持った場合、耐油性や落としたときの衝撃への強さが求められる。
原材料は世界中から、ソニーが委託している中国南部の施設に集められる。粉砕・洗浄された原材料は、熱を加えながら大きなミキサーで混ぜ合わされ、難燃剤を添加する。成形機で押し出され、粒状のペレットにされる。この時に着色顔料を添加することで、黒、白、灰色のペレットをつくることができる。
ペレット状にしたプラスチックは、金型で成形され、さまざまな製品の部品に採用されてきた。液晶テレビでは画面のフレーム部品などに採用。デジカメでは上位機種「α99」や「サイバーショット」シリーズなどに導入された。