書評

『火山入門 日本誕生から破局噴火まで』島村英紀著

 御嶽山や口永良部島の火山活動が注目されるが、これはまだ小規模だ。歴史的にみれば、日本では100年に4~6回、噴出物が東京ドーム250杯分を超える「大噴火」が起きていて、昭和4年の北海道・駒ケ岳を最後に静かな時期が長く続いている。つまり、どこかで大噴火が起きる可能性がある。にもかかわらず「現在の学問では噴火の予知はほとんど不可能」なのだと著者は記す。

 日本人はさまざまな形で、火山の恩恵を受けてきた。過去の災害事例に学び、将来起こりうる被害を念頭に置きながら、自然の恵みと上手につきあっていくしかない。(NHK出版新書・740円+税)

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