住民投票直後から掲げる対話路線の一環ともいえるが、会見では市議会の野党に対する挑発的な言動が目立った。今後の優先的に取り組む政策課題として市営地下鉄民営化を表明した際には、こう迫った。「都構想をやらなくても民営化をできると言ったのだから、早くやってほしい」
橋下氏は平成23年12月の市長就任以降、市営地下鉄・バスの敬老パスの有料化や、各種団体への補助金制度の見直し、職員の給与カットなど行財政改革に着手。しかし「二重行政の弊害」と位置付けてきた類似施設の統廃合の多くや、成長戦略の一つに据える市営地下鉄、水道事業の民営化など大型案件は積み残しの状態になっている。
とりわけ地下鉄に関するいら立ちは強い。民営化条例案と経営プランを策定したが、自民、公明は民営化そのものには理解を示しながら「拙速」などとして反対に回っていた。
「行政サイドの案はできており、あとは議会が『うん』というかどうか。ボールは議会に投げている」。橋下氏は会見で都構想に反対した野党が責任を持って政策実行を進めていくべきだとの見解を繰り返し強調した。
囲み取材廃止?
記者団からは橋下氏が17日の住民投票以降、登退庁時の囲み取材に応じていないことへの質問も飛んだ。
囲み取材は、橋下氏が20年に府知事に就任した直後から続いており、政策の説明や政治的なメッセージを発する場にもなっていた。報道内容などをめぐり、記者団と激しい応酬を繰り広げる場面もあった。
記者からの継続の要望に「もういいんじゃないですか。他の都市でも毎日はやっていない。定例会見を基本にさせてもらいたい」。笑顔ながらも消極的な姿勢に終始した。