日台の障害者が制作した陶芸や絵、手芸など120点が信楽に集結

 日本と台湾の障害者が制作を手がけた陶芸や絵画などの芸術作品を集めた展覧会「しがらきから吹いてくる風」が、甲賀市信楽町勅旨の県立陶芸の森・産業展示館ギャラリーで開かれている。双方の作家59人が独特の感性で作った約120点が会場に並び、訪れた人たちの目を楽しませている。

 知的障害者を対象に、地場産業の陶芸を身につけてもらおうと指導している社会福祉法人「しがらき会」(同市信楽町神山)が主催。台湾の福祉団体と交流があった縁で平成23年11月に、台北市で障害者の作品展を初めて開催して以降毎年、日本と台湾で交互に展覧会を開催している。

 両国の障害者作家らに交流を深めてもらうとともに、「信楽」の名を海外に広めるねらいがある。展覧会のタイトルは、同法人が運営する授産施設「信楽青年寮」を舞台に施設利用者と地域の交流を描いた、記録映画から命名した。

 今回の展覧会には、日本の22人と台湾の37人の作家らが、陶芸や絵画、手芸などの作品約120点を出展。会場には、さまざまな動物をかたどったり、お面を手の平サイズにしたりした陶芸をはじめ、不規則な形のカラフルな刺繍が施された手芸など、個性豊かな作品が並んでいる。

 正規の教育を受けずに生み出された「アール・ブリュット」が近年注目され、障害者らの芸術作品もこのカテゴリーで扱われることが多い。多賀町の主婦(42)は「普通の美術館などで見る作品と違い、とても細かい所までていねいに作り込まれていて新鮮さを感じた」と話していた。

 同法人は「創立以来、60年間陶器作りを続け、信楽は『障害者が働きやすいまち』として知られるようになった一方、業界は低迷が続いている。芸術を通じた国際交流で地域を活気づけたい」としている。会期は6月14日まで。入場無料。

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