日本や日本国民を守り抜くために何が必要か。そこに重きを置いた論戦こそ聞きたい。
集団的自衛権の限定行使の容認を柱とする安保関連法案の審議が衆院で始まり、安倍晋三首相は「分かりやすく丁寧な説明を心掛け、今国会における確実な成立を期す」と語った。
激変する日本の安全保障環境を考えれば、抑止力の強化を図る関連法案の成立は急務である。
野党側は安保法制見直しへの国民の理解が深まっていないとみて、「戦争に巻き込まれる」といったレッテル貼りをする。
だが、安全保障の議論を矮小(わいしょう)化する姿勢では、国民の安全と平穏な生活を守る政治の責任を果たすことにならない。
国会審議で、政府はとくに2つの点を国民に伝えてほしい。
1つは、政策の転換を迫る安保環境の激変だ。首相が本会議で「中国の台頭と東シナ海、南シナ海における活動」に言及したことに注目したい。
軍事力を背景に、尖閣諸島の奪取をねらい、南シナ海で岩礁の軍事基地化を強行する中国の動きに目をそむけてはならない。