正論

安保法制の「大業」を成就させよ 防衛大学校名誉教授・佐瀬昌盛

 この2本の法律案のうち、私見では後者、つまり国際平和支援法の方が国会で紛糾を呼びやすいでしょう。なぜなら、その国際連携平和安全活動、換言すると、「非国連統括型の国際的な平和協力活動」(傍点引用者)の法制化には民主党をはじめとして多くの野党が難色を示すからです。有志連合型の行動への参加は我が国では嫌われてきました。国会の外でもそうです。各種の世論調査の結果が何よりもそれを物語っています。

 ≪今こそ冷静な議論が必要≫

 安倍政権に対する世論の支持は調査主体により多少のバラツキはあるものの、総じて高止まっているといえるでしょう。が、それに比べると、国連が直接に関与しない国際的平和協力活動への自衛隊参加には国民の抵抗が大きいのです。この点で世論の賛成を問うと、政府は敗れます。国連憲章が自明視する個別的、集団的自衛権の限定的行使についてやっと賛成多数の見通しがたっているのとは、大違いなのです。

 安倍首相の言う「積極的平和主義」を一般庶民は「おせっかい介入主義」だと曲解し、背を向けたがります。そうでなくとも、かつて非武装中立を唱えた日本社会党の末裔(まつえい)たる某党は政府提出法案を「戦争法案」だと罵(ののし)っているではありませんか。この種の口吻(こうふん)は俗耳に入りやすいのです。

 安倍首相は会期を多少延長してでも今国会で新しい安全保障法制を成立させたいと明言しています。いまの与野党の勢力比に照らせば、それは可能でしょう。ただし、問題は世論の動向です。その特徴はムラ気さにあります。一部の「進歩的」新聞は、いっそう煽動(せんどう)色を強めている気配です。本当は今秋にかけて、いまこそ冷静な議論が必要だというのに-。

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