卒業式などで校長の職務命令に反し、国旗に向かっての起立や国歌斉唱をしなかったことを理由に、定年後の再雇用選考で不合格になったのは違法として、都立校の元教職員22人が都を相手取り、1人当たり520万~1300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が25日、東京地裁であった。吉田徹裁判長は「都教委の判断は裁量権の範囲を逸脱、乱用した」として、全員にそれぞれ200万円超の賠償を命じた。
判決によると、都教委は平成15年10月、卒業式などで国旗に向かって起立し、国歌斉唱することを義務づけ、従わない教職員は服務上の責任を負うとする通達を出した。原告らはこれらの職務命令に従わずに戒告などの懲戒処分を受け、再雇用を申請したが不合格となった。
吉田裁判長は「職務命令違反があったことだけを不当に重視し、教職員としての長年の経験や知識などを全く考慮していない」と述べ、再雇用への期待を違法に侵害したと指摘した。再雇用された場合に、原告がそれぞれ得られる1年分の報酬を賠償額と算定した。