経済インサイド

上場控えた日本郵政がソフトバンクと「提訴合戦」の泥沼

互いに提訴し合う日本郵政とソフトバンク。泥沼化が懸念されている。
互いに提訴し合う日本郵政とソフトバンク。泥沼化が懸念されている。

 日本最大級の情報システム構築をめぐる受発注トラブルが法廷闘争に持ち込まれた。ソフトバンクモバイル(SBM)が発注元の日本郵政子会社、日本郵政インフォメーションテクノロジー(JPiT)に追加業務の報酬約149億円の支払いを求めて4月30日に東京地方裁判所に提訴。JPiTも同日、SBMと野村総合研究所(NRI)に納期遅れによる損害賠償161億5000万円を求め、東京地裁に提訴した。JPiTとSBMが互いに訴訟し合うという異例の事態となったのはなぜなのか。

お互いに「原因は先方にある」

 提訴合戦の原因は、郵政総合情報通信ネットワーク「PNET(ピーネット)」更改の通信回線敷設が6月末にずれ込むことになったためだ。IT(情報技術)業界では日常茶飯事ともいえるシステム開発契約をめぐるトラブルだが、今秋の株式上場を控える日本郵政グループにとっては軽視できない事態だ。

 しかし、JPiTとSBMは互いに「原因は先方にある」と主張する。遅延を招いた本質的な要因については「裁判の審議に支障が出る」ことを理由に不十分な説明にとどまっており、具体的な内容は不明なままだ。

 しかし、提訴合戦の裏には、政争で曲折を余儀なくされた民営化路線の中で、ネットワークの分断、再統合という膨大な投資や人的労力を費やしてきた巨大情報システムが抱える問題や、統合再編を繰り返してきた通信業界の大規模ネットワーク対応力の低下が影響している可能性もある。

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