聞きたい。

四元康祐さん 『偽詩人の世にも奇妙な栄光』 独創性とは? 実感込めて

【聞きたい。】四元康祐さん 『偽詩人の世にも奇妙な栄光』 独創性とは? 実感込めて
【聞きたい。】四元康祐さん 『偽詩人の世にも奇妙な栄光』 独創性とは? 実感込めて
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 言葉が立ち上がらない悲しみと怒り、そして求め続けた詩を手に入れた瞬間の興奮-。現代詩のトップランナーがこれまでの創作で得た実感を物語性豊かな小説に溶かし込んだ。

 「自分を突き放して見てみたい、というのが一番のきっかけですね。詩人だと言っていい気になっている自分、あるいは詩そのものを一度ちゃんと見据えなきゃと。これは事実に基づくフィクションです(笑)」

 主人公は著者と名前の似た吉本昭洋。中原中也に心酔し生活のほとんどを詩にささげるが、内面に書くべきものがなく、詩を書けないでいた。商社の海外駐在員となり、世界中の詩人が集う「詩祭」に参加するようになった吉本は、そこで手にした海外の詩人の作品を翻訳し自作と偽って日本で発表、好評を得るが…。

 翻訳体験を通して詩の言葉を見つける印象的な場面に若き日の自身が重なる。「英語の詩を日本語に訳したときに異様な戦慄を味わったんですよね。翻訳というフィルターを介して、自分をいったん切り落とし空っぽになることで『もどき』ばかり書いていた呪縛から解放された。僕の詩の出発点でもある」