討論

国主導「プレミアム商品券」 各自治体の消費拡大なるか

 --消費の反動減が見込まれる来年も、商品券を発行すべきか

 「来年はともかく、29年4月に消費税率が10%に上げられた後に、消費が大きく減った場合にまた、緊急避難的に商品券を、との話が出てくる可能性はある。しかし『自分のところでは必要だ』と考える自治体が発行すればいいのであって、国が交付金を使ってやるべき話ではない。今回は26年度補正予算での交付金だが、消費税が8%になって税収が増えた分を回している形で、財政再建のための税率アップではなかったのか、という問題がある」

 --国としては商品券発行を後押しすべきでないと

 「本来、地方経済を立て直すためには、税源移譲で地方の自主財源を増やすのが本筋だ。プレミアム商品券への交付金というのは短期的・一時的な政策であり、財政再建下でこうした政策が実現してしまう過程をしっかりチェックしなければならない。地方の側も自分たちの使ったお金が本当に有効かどうか、地方経済が活性化されるのかを検証する必要がある。継続性のある政策を実現するためにも国として税源を移譲し、地方の自主性を高めていくことを考えていかねばならない」

 〈くまの・ひでお〉昭和42年、山口県生まれ。47歳。横浜国立大卒。日本銀行勤務を経て平成12年、第一生命経済研究所入社。23年から現職。著書に「本当はどうなの?日本経済 俗説を覆す64の視点」など。

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