一過性の効果しかない 第一生命経済研究所首席エコノミスト・熊野英生氏
--国の交付金を使ったプレミアム商品券の発売を全般的にどうみる
「地元の商店街の活性化などが目的だが、果たして商品券発行で目的は達成されるのか。新たな雇用や投資を生むわけではなく一過性の効果しかないだろう。お金の使い方としてもったいない。過去に自治体が商品券を発行した事例では、プレミアム分の2~5倍程度の消費が増えたとされているが、翌年の反動減を織り込んでおらず、効果が過大評価されている傾向がある。人材育成など、地道で蓄積される取り組みに投資するほうが望ましい」
--自治体が商品券を発行すること自体は構わないのか
「国が交付金を出すとなると、効果が見込めない自治体まで商品券を発行することになり、望ましくない。B級グルメと同じで、自分の町にこんなにすごいものがあり売り出したいというのであれば、自治体が身銭を切って商品券を発行すればいい話だろう」
--全国の97%の自治体が商品券を発行する予定だが
「どこの自治体も発行するのは異常だ。商品券は目立つ政策だが、それが本当にいいのか。一時的に売り上げが増えたとしても、それで商店街が復活するということにはならない。成功する自治体もあれば失敗する自治体もあるだろうが、失敗例は教訓として残さなければ、同じことが繰り返されるだろう。平成11年(地域振興券)、21年(定額給付金)、今年と国による緊急避難的な政策が実施されているが、財政状況の厳しい折、精査が必要だ」