--地方創生につながるか
「何が・誰が・どこで買えるのか、この3つの組み合わせでいろいろな商品券のあり方が考えられる。『何が』については消費税増税以降、消費者に節約志向が出てきた一方で、いいものを買いたいとの意識もあり、そのどちらを刺激するかが重要なポイントだ。16年前の地域振興券では日常的な買い物に充てられ、消費刺激効果は小さかった。定額給付金では貯蓄に回すという人もいた。今回はその反省をふまえて、非日常的な消費をうながそうと、鳥取県や神奈川県湯河原町のように旅行やレジャーに使える商品券を発行する自治体も出てきている。その地方がどう地方創生をしていくかを考えた結果として、非日常的消費をうながす商品券を発行することが理想だ」
--住民以外の人でも買える商品券が出ているが、どう評価する
「観光で売り出していく、との明確なビジョンがある地域であれば、住民以外の購入もあっていい。一方で地元住民のみを対象とするところもあるだろう。山間部の自治体では隣町と連携して発行してもいい。先の3点をうまく組み合わせれば、非常に有効な政策となる可能性は十分ある。逆にそこで失敗すれば、従来のバラマキと同じ、ということになってしまう」
--全国の97%の自治体が商品券を発行するが
「発行した結果がどうなるかは職員の意識と能力にかかってくる。商店街など各方面に配慮すると以前のようなバラマキになりかねない。地方創生に向けた自らのビジョンを持って、キーパーソンが批判は覚悟の上で実現していく必要がある」
--来年以降も実施すべきか
「地域振興券などと同様、来年は消費の反動減があるだろう。ただ非日常的な消費を呼ぶ方向に進めば、反動減は少なくなるはず。来年以降については、国の支援はあったほうがいいが、支援がなくても自治体自身が商品券を発行していけるのが理想だ」
〈ふじわら・ひろゆき〉昭和44年、岩手県生まれ。46歳。弘前大卒。国際投信委託、ベリングポイント、PwCアドバイザリーなどをへて平成20年から現職。専門は消費経済、金融、リスクマネジメント。