両国公会堂が89年の歴史に幕 刻まれた歴史を写真で 墨田区役所で企画展

 緑青のドームが象徴的な両国公会堂(墨田区横網)は89年の歴史に幕を閉じ、今夏から解体作業が始まる。同区は区役所1階アトリウムで28日までメモリアル企画展を開催し、写真パネルなどで、地域の記憶をたどっている。

 両国公会堂は、旧東京市政調査会(現在の後藤・安田記念東京都市研究所)が安田善次郎氏の寄付を受け、旧安田庭園に面して大正15(1926)年に完成させた。当時の名称は本所公会堂だった。

 設計したのは、台湾総督府(現・総統府)や旧久邇宮邸御常御殿(現・聖心女子大学パレス)などを手がけた森山松之助。鉄筋コンクリート4階建てで、庭園に面して定員790席のホールを備えた。大屋根のドーム、左右対称の四角い正面、ホールの形を表した円形の背面を持つ特徴的な外観だった。

 ◆GHQのクラブ

 区によると、建設当時は講演などに使われたというが、当時の公式な文書は残っていないという。戦時中は食料配給所にあてられ、戦後は一時、連合国軍総司令部(GHQ)のクラブとして接収された。

 昭和16年に両国公会堂と改称。42年に安田庭園とともに都から区に移管。43年に補修と拡張を行い、音楽コンサート、映画上映、演劇公演、ピアノ発表会などに使われた。47年は802件の利用があった。

 しかし、老朽化が進み、平成13年3月末で使用を中止。区は建物保存を前提に、改修したうえで利用する方法を模索し、ブライダル業者と基本協定を結んだが、想定以上の耐震経費がかかることが分かって辞退され、保存を断念した。

 ◆跡地は刀剣博物館

 解体後の跡地には、公益財団法人日本美術刀剣保存協会が刀剣博物館を建設することになり、平成29年度中に開館する予定だ。

 区役所で開催中の企画展では、41枚のパネルを使って、建物の内部、イベントの様子などを振り返り、公会堂に刻まれた歴史を紹介している。

 来場した同区京島の広田啓二さん(62)は「中学校のときに吹奏楽部の演奏会で入った。天井が高いのが印象に残っている。建物を残し、活用してほしかったので、解体は残念」と見入っていた。

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