今年度から高校で用いられている教科書について、原子力に関係する記述にいくつかの間違いや誤解が見られることが、日本原子力学会の調査で分かった。取材班も教科書を入手し分析してみると、「放射能」と「放射性物質」の違いなど、素人が陥りそうな単純な間違いが確かに見受けられた。さらに「反原発」に偏っている記述も発見、この教科書会社に質問状を出して真意を聞いてみた。(原子力取材班)
「放射能障害による影響」の記述に間違いは?
原子力に関係する記述がある教科書は、地理歴史科(世界史、日本史、地理など)と公民科(現代社会、倫理、政治・経済)で、計56点ある。原子力学会はこれらをすべてチェックし、提言を盛り込んだ報告書を4月に文部科学省に提出した。
特に多かった間違いは、「放射線」「放射能」「放射性物質」の違いだ。
簡単に説明すると、まず「放射線」は放射性核種から放出される粒子のことで、アルファ線、ベータ線や、胸部の撮影に使うエックス線などがある。「放射能」は放射線を出す性質(能力)のことであり、放射能を持っている物質を「放射性物質」という。