昭和49~50年の日本を震撼(しんかん)させた連続企業爆破事件。産経新聞は40年前の19日付朝刊で、「爆破犯 数人に逮捕状」の世紀のスクープを放った。「伝説の事件記者」ともいわれた福井惇氏(昨年10月死去)が警視庁キャップとして精鋭を率い、同庁幹部に「あの記事を超える事件の特ダネを知らない」と言わしめた。歴史に立ち会った記者たちは事件をどう見つめ、今何を感じているのか。40年目の真実が今、明かされる。また、彼らの執念を描いた再現ドラマ「連続企業爆破テロ 40年目の真実 ~極秘資料が明かす警察と爆弾犯の攻防260日~」が22日(金)午後9時からフジテレビ系で放送される。
《日本でもテロが起きたことを伝える》
■フジテレビ報道局 岡田宏記チーフプロデューサー
フジテレビ系で22日午後9時から放送される特番「連続企業爆破テロ 40年目の真実」。約40年前の事件をテーマに選んだ狙いについて、岡田チーフプロデューサーは「世界中がテロの脅威にさらされており、日本も例外ではない。そんな情勢だからこそ、そう遠くない昔に日本でもテロが起きていた事実を、事件を知らない若い世代にも知ってほしかった」と話す。
事件当時の産経新聞警視庁キャップ、福井惇氏の著作「狼・さそり・大地の牙」が番組制作のきっかけになった。
岡田氏は「狼-」を読み、「一人のテレビマンとして、純粋に面白い題材だと思った」。そして、「警察発表を待つだけではなく、自分たちで犯人像を分析している。尾行中の刑事を尾行したり、デパートの従業員の格好をさせて容疑者の周辺を当たらせるなど、『そこまで取材するのか』と驚いた」という。
番組は、福井氏(野村宏伸)ら産経記者たちが事件の真相をつかむため、奮闘する再現ドラマを舞台回しに、フジテレビが独自に入手した警察の「極秘資料」や、警察関係者らへのインタビュー、当時のニュース映像なども交え、事件の闇に迫る。
素材集めは苦労続きだった。事件を覚えている関係者が少なく、一度は暗礁に乗り上げた。今年1月の制作開始後も厳しい状況は変わらない。「公安刑事の世界は『ガンバコ(棺おけ)に入るまでしゃべるな』という言葉が浸透している。入り込むのに苦労したが、捜査の機微に関わる話など、今まで知らないエピソードを教えてくれた」という。
岡田氏は「当時の話は、今聞いても衝撃的な内容が本当に多い。犯人と刑事と、そして記者の、知られざる戦いに見入ってしまうと思う」と語った。