市場にはイー社に続き、ジャパン・ライツ・クリアランス(JRC)も今年4月に参入。JASRACを含めた管理事業3社と局側(NHKと民放連)の5者で、統一的な徴収方式を構築できないか、2月から検討中だ。
この中で、有力視されているのが、包括徴収方式を一部改め、使った楽曲の使用割合(楽曲数や時間)に応じて、局側が管理事業者別に支払う方式だ。
著作権管理に詳しい唐津真美弁護士によると、局側はこれまで使用楽曲の実態について、放送の一部だけを切り取ってJASRACに報告する「サンプル調査」が多く、実態に即した使用料徴収が難しかった。ただ現在は、楽曲管理のIT化が進み「全ての使用実態を報告する土壌はできつつある」と唐津弁護士は指摘する。JASRACによると、現在では使用実態を「全曲報告」する局がほとんど。実態に即した使用料徴収に向けて、条件が整い始めている。
唐津弁護士は包括徴収方式の意義を一定範囲で認める一方、「市場自由化で、対アーティストの契約内容など、JASRACがサービスを向上させているのも確か。競争が生まれることで音楽著作権管理市場が活発になれば、アーティストや放送局にとっても有益だ」とし、JASRACが使用実態を反映した徴収方式にシフトする必要性を指摘している。