ただ、市場を圧倒するJASRACが使い放題を実施することで、新規参入を目指す他社は「JASRACの方式が新規参入を妨害している」と訴え続けている。
JASRACに比べ管理楽曲が圧倒的に少ない他社(イー社で約5800曲)と使い放題契約を結ぶメリットは、放送局にとってほぼない。他社の管理楽曲を使用すればするほど、放送局は新たな使用料を支払うことになる。このため、支払い負担を抑えたい放送局は、JASRACの使い放題を利用するばかりで、他社楽曲の使用を避ける傾向にある。
実際、18年に放送分野の楽曲管理に参入したイー社は当初、ある有名アーティストの楽曲管理を行っていたが、イー社管理楽曲が放送で使われることがほとんどなかったため、このアーティストがイー社から離れた経緯がある。
最高裁も判決で「JASRACの方式は他業者の管理楽曲の利用を抑制している。市場支配力の維持や強化のため、正常な競争手段を超えてあえて、包括徴収方式での事業を行った」と指摘しており、イー社にとっては追い風となっている。
統一的な徴収方式を模索、関係者の協議続く
昭和14年の設立以来、音楽著作権管理事業を独占し、平成13年の市場自由化以降も、使用料徴収額ベースで98%以上と圧倒的シェアを誇るJASRAC。「独禁法違反には当たらない」と引き続き法廷闘争を匂わせる一方で、解決を模索していることも確かだ。