その後、公取委は21年2月、方式を独禁法違反と判断、改善を求める排除措置命令を出したが、JASRACがこの判断に反発。公取委に審判請求を行い、公取委は24年6月、排除措置命令を取り消す審決を出した。
その後、新規参入した「イーライセンス」(東京)が公取委の審決取り消しを求めて提訴した。25年11月に東京高裁が審決を取り消し、最高裁も今年4月、高裁の判断を支持し、公取委に審決をやり直すよう命じた。今後、公取委が改めて審決を出すことになるが、次に出される結論にJASRACやイー社が反発すれば、再び審決取り消し訴訟に発展する可能性がある。
最高裁は今回、JASRACが独禁法に違反しているかどうかについて、結論は出していない。このため、公取委の立ち入り検査から7年余り、問題は振り出しに戻ったかたちだ。
“使い放題”で他社楽曲を避ける放送局
包括徴収方式とは何なのか。JASRACが著作権を管理する楽曲は約300万曲。JASRACと契約を結ぶ国内のテレビ・ラジオ局は、年間の放送事業収入の1・5%をJASRACに支払えば、自由に使用することができる。使用実態に依拠しない使い放題で、放送局にとっては割安で便利だ。また、著作権管理を委託するアーティスト、事業を進めるJASRACにとっても、1曲ごとの使用実態を監視するという、管理の手間を省ける利便性がある。