【ワシントン=青木伸行】ケリー米国務長官の韓国訪問は、先の安倍晋三首相の訪米を踏まえ、6月に予定される朴槿恵大統領の訪米に向けた地ならしのほか、韓国へのミサイル防衛(MD)システムの配備をめぐる米韓の確執を緩和することが目的だった。
日韓関係についてオバマ政権は、安倍首相の訪米が先行したことで韓国側に不快感があり、再改定された「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)などに基づき、日本の軍事的な役割が強化、拡大されることに対する強い警戒感があることを熟知している。
このためケリー長官を派遣して安倍首相訪米後の反動を押さえつつ、朴大統領訪米に道筋をつける必要があった。
だが、米側が日韓関係を憂慮している間に、北朝鮮政策をめぐり米韓関係がぎくしゃくしてきた。米政府が望む弾道ミサイル迎撃システム「高高度防衛ミサイル」(THAAD)の韓国配備について、韓国側が中国の反発に遭い躊躇(ちゅうちょ)しているからだ。