なんだかまるで無法地帯に見えるが、始発駅では高齢者や子ども連れ、妊婦、身体の不自由な人などのための優先レーンがあり、彼らが全員座ってから、その他の人々が乗車していたし、優先されるべき人が途中駅から乗り込んでくると、みんなが声をかけ合い、身体をねじったり、何とかスペースをつくって座席を譲る。
「朝と夕方のラッシュ時間以外は、こんなに混雑していないのですよ。フィリピン人は、仕事がそれほど好きではなく、家族が大好きですから、就業時間が終われば、残業などせずすぐに帰宅したいのです」。
立っている私の前に座っていたおばちゃんがそう言い、それを聞いた周囲の女性たちも、大きくうなずきながら軽やかな笑い声をあげた。
■取材協力:フィリピン政府観光省