ソウルで3月5日早朝、リッパード駐韓米大使が「愛国者」を自称する暴漢に顔を切られるテロ事件が発生した。リッパード氏は80針を縫う重傷を負い、一歩間違えば動脈切断で生命の危機があったとされる大事件だった。朴槿恵(パク・クネ)政権の同盟国要人に対する警備体制の緩さが招いたものだが、いまのところ警備担当の責任者が処分されたとは寡聞にして聞かない。朴大統領は身内に甘いのか、どうも事件の重大さを十分に認識していないようだ。
リッパート大使襲撃事件発生の翌6日、日本の外務省幹部はこう語気を強めた。
「外交団の長に対する暴力行為でテロ行為だ。そういうテロ行為を防ぐだけの警備体制をとっていなかった韓国側の手抜かりは弁解の余地はない。しかも前歴のある犯人だ。今、韓国政府は相当ショックを受けているのではないか。外交使節に対する警護には万全を期してほしい。重大な教訓をふまえてしっかりやっていただきたい」
今回の朴政権の失態は、その言葉に集約されている。朴大統領にとっては大嫌いな日本の高官からの頂門の一針にさぞ悔しい思いをしているだろう。