「4月=新学期」の産物か
スポーツや学業成績と早生まれの関連をめぐってはさまざまな研究がなされている。
「早生まれの子供は4月生まれなどの子に比べて月齢が低いので、小学校入学時点ではどうしても身心ともに幼い。同学年の児童の中では月齢の高い子供よりもテストの成績が振るわない、というのは世界中の研究者がよく指摘していること。実際、私立の名門中学には4月生まれの子が多い、という話も聞きます」
そう話すのは、「小学校入学時の月齢が教育・所得に与える影響」などのリポートもまとめた、一橋大大学院経済学研究科の川口大司教授(労働経済学)だ。
「ただ、こうした傾向は4月に新学期を迎える日本の学校制度の産物。子供たちの本質的な能力差は全くない。学習やスポーツでの不利は学年が上がるにしたがって消えていく。小学校段階での早生まれの子たちは『アンダーパフォーム』、つまり、本来の実力より下の力しか出せていないわけです。本質的には能力が高いわけだから、それが後に開花する。作家になるのも、その一例かもしれません」
大器晩成タイプ、といったところか。もう少し、現役の早生まれ作家の心境を聞いてみたくなった。
「私は血液型や星占いでは、いつも『現実逃避傾向』が出ます。自分そのものじゃないか、と。えっ? ああ、早生まれの話ですか」。そうおどけるのは昭和36年3月13日生まれの作家、島田雅彦さんだ。
「おそらく偶然でしょう」と〈早生まれ=作家多い説〉には懐疑的。だが、自身の小学校時代を振り返りながら、現在の作家への道につながるような体験をいくつか教えてくれた。