日本の議論

無表情、集団生活嫌い、激変した「少年院」収容少年たち…「昔は暴走族、今は特殊詐欺」でリーダーも不在

【日本の議論】無表情、集団生活嫌い、激変した「少年院」収容少年たち…「昔は暴走族、今は特殊詐欺」でリーダーも不在
【日本の議論】無表情、集団生活嫌い、激変した「少年院」収容少年たち…「昔は暴走族、今は特殊詐欺」でリーダーも不在
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 お年寄りをターゲットに多額の現金をだまし取る「振り込め詐欺」に手を染める若者が後を絶たないが、若者の変質に合わせ、少年院の指導現場も変化している。収容者に暴走族が多かった昔は面倒見の良いリーダーを育て他の少年を統率するピラミッド型の秩序構造だった。しかし、最近は知能犯の増加もあり集団生活になじめない少年同士が話し合いをしたり、法務教官が膝をつき合わせるフラット型に移行している。振り込め詐欺を始めとする「特殊詐欺」による収容者の率が高い多摩少年院(東京都八王子市)を訪ねた。

無表情で気持ちを表現できない子供たち

 「昔は暴走族や粗暴行為者が多く、やんちゃな子がたくさんいた。喜怒哀楽がはっきりしていて、打てば響く子たちばかりだったが、最近は振り込め詐欺や性非行など特殊な非行で入ってくる子が増え、元気がなくなってきた。うれしくても悲しくても無表情で気持ちを適切に表現できない。なぜ悩んでいるのか、何を考えているのかを引き出すだけでも大変になってきています」

 関東近県の1都10県から主に10代後半の少年たちが収容される多摩少年院に20年勤務する生活指導主任(46)は、更生の現場の変化をこう説明する。特に、振り込め詐欺などで収容された現代っ子たちの急増は、教官を戸惑わせがちだという。

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