ネグレクトで「母との思い出」がないカフェオーナー 「子育ての苦労や楽しさを歌に」と短歌教室開催へ  

「短歌で家族同士の会話を増やしてほしい」と話す新田満さん(右)と高田ほのかさん=大阪市北区
「短歌で家族同士の会話を増やしてほしい」と話す新田満さん(右)と高田ほのかさん=大阪市北区

 わが子への思いを歌に詠んでみませんか-。大阪市北区のカフェが、子育て中の母親を対象にした短歌教室を始める。日々成長していくわが子を歌のテーマにすることで、子供への愛情を深めてもらおうと、店長の新田満さん(26)が企画した。自身は育児放棄(ネグレクト)の状況で育ち、家族の思い出はない。「自分と同じような寂しさは子供たちに経験してほしくない」と願いを込める。

 昔ながらの天五中崎通商店街のすぐ近く。「何人(NantoKanto)」は、木造の長屋の1軒を改装したこじんまりとした店だ。畳を敷いたスペースでは、新田さんの長男で10カ月の優真ちゃんがはいはいをしている。

 店は昨年11月にオープンした。子供が小さいと泣いたり騒いだりして、親子でカフェやバーには行きづらいという経験から「子連れ歓迎のカフェ&バー」を掲げて店を開いた。カクテルやビールも飲める。

 今回の教室は、今年1月に歌人の高田ほのかさん(33)を講師に招いて短歌教室を開いたことが、きっかけになった。

 優真ちゃんを題材に短歌を作るようになった。すると、わが子をよく観察するようなった。昨日できなかったことが今日できるようになっている。成長を発見した喜びを歌にした。

 短歌は、写真とは違った親子の思い出になるのではないか。そう思った新田さんは「お母さんたちを対象に育児をテーマにした教室を開きたい」と高田さんに相談し実現した。

 新田さんには母親との思い出がない。新田さんを身ごもり20歳で結婚し、まもなく離婚したが、物心が付いたころには家にいなかった。帰ってくるのは月に1度程度。小学生の新田さんは、朝は新聞配達、夜は内職をして生活費を稼いだ。食事も一人で作って一人で食べた。

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