戸津井康之のメディア今昔(27)

一揆映画その背景 伝承される民衆の魂描く

 山崎監督は山中一揆を数十年にわたり調査している地元の研究者らを訪ね歩いて取材を重ね、脚本を仕上げた。地元には一揆に参加した農民の末裔も多く、その家族たちも映画製作への支援を惜しまなかった。撮影で使用する農民の衣装やワラジの製作などに地元高校生ら約300人が参加し、エキストラとして7歳から90代の約100人が出演。古民家を借りるなどオール県内ロケで撮影した。

 「教科書には載っていないが、先祖が命懸けで守ろうとした誇りが綿々とこの土地で語り継がれている。岡山で暮らしながら映画を撮るという意義も、この作品に込めたかった」と山崎監督は言う。

製作費はカンパで工面

 「新しき民」に限ったことでなく、一揆を題材にした映画製作において地元住民の協力は不可欠だ。「一揆=反権力」という負のイメージが強く、エンターテインメント作品と比べて上映館数も限られるため、スポンサーも期待できず、製作費の工面が困難だからだ。

 それでも、一揆映画は繰り返し製作されてきた。

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