秘録金正日(24)

ブランド品に娯楽…撮影所から始まった人心掌握術、映画で父世代に取り入り 

 朴金●(=吉を2つヨコに並べる)(パク・クムチョル)を中心にした甲山(カプサン)派粛清後も、粛清前に朝鮮労働党宣伝扇動部長だった金道満(キム・ドマン)が、金●(=吉を2つヨコに並べる)の夫婦愛をテーマに作った映画「一片丹心」の影響はすぐには消えなかった。金●(=吉を2つヨコに並べる)に追従する勢力は、文化芸術分野に多く布陣していたからだ。1960年代の北朝鮮では、映画が絶大な人気を誇っていた。

 67年9月、金日成(イルソン)は「金●(=吉を2つヨコに並べる)、道満の反党的余毒を清算するため」の党中央拡大政治委員会を平壌の朝鮮芸術映画撮影所で招集した。政治委員会を現場で開くのは異例だ。宣伝扇動部門の掌握を狙う金正日(ジョンイル)が仕組んだとみられる。

 当時、宣伝扇動部にいた申敬完(シン・ギョンワン)によると、日成は会議冒頭、「一片丹心」を痛烈に批判した後でこう問い立てた。「同志たち、映画を党の革命的芸術に発展させなければならないのだが、誰か対策はあるか」

 正日がすっと手を挙げた。「私が責任を持ってやってみようと思います」

 少年時代から映画に一家言を持つ正日の自薦に異議を唱える者はなかった。父に能力を認められたい正日にとって大きなチャンスでもあった。会議で正日は宣伝扇動部文化芸術指導課長に正式に指名される。

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