日本の議論

「長生き本当に幸せか」問う筆者…執念消えぬ80代ストーカー、78歳AV女優、高齢者の性と犯罪 

成功体験が忘れられず

 雑誌や新聞を中心に執筆してきた新郷さんが、高齢者の取材を始めたのは平成25年、高齢者の万引の現場を初めて目撃したのがきっかけだ。店員にとがめられた高齢者が「この店は年寄りいじめをする」「俺は被害者だ」と大騒ぎする姿を見て、「ステレオタイプの哀れな老人と現実は違う。高齢者の心の闇の部分に何かある」。ノンフィクション作家の直感が働いた。

 実際、警察庁のまとめによると、60代以上の高齢者が加害者となったストーカー犯罪は、25年には1919件と10年前の約4倍に上った。

 男性は女性に比べて家族との死別や退職で孤立しやすく、暴走する可能性が指摘されている。著書では、ファミリーレストランのアルバイト店員の若い女性にコーヒーのおかわりなどで頻繁に声をかけていた高齢男性が、女性の自転車のかごにプレゼントの菓子やハンカチを入れておくなどして女性を恐怖に陥れるケースが紹介される。

 70歳の男性が37歳のシングルマザーから子育ての苦労や仕事の愚痴を聞いているうちに「運命の相手」と一方的に思い込み、強引にキスしたり、さらにエスカレートしたりして警察沙汰になったケースもある。

 新郷さんは取材経験を基に、高齢者ストーカーの中には現役時代の成功体験から自分はもてると思い込んでいる男性が2割程度いるとみる。「男性は特に年下の女性から必要とされると、自分の価値が高まると感じやすいため、女性を逃そうとしない。女性は人生経験豊富な人が道を踏み外してくるとは思わないので、最後は泥沼です」

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