浪速風

高齢化時代のヒーロー

嵐山光三郎さんは「『下り坂』繁盛記」(新講社)に「還暦をすぎてから『見て見ぬふり』をするようになった」と書いている。「(電車の中で)イカれたアンちゃんに出くわし、カッときて文句を言いたくなった。マテマテ、と自分を制するのは、若いときほど体力に自信がないからだ」

▶小欄も身に覚えがある。北野武監督の映画「龍三と七人の子分たち」は、オレオレ詐欺に引っかかった元ヤクザの老親分が昔の子分たちを呼び集め、高齢者を食い物にする半グレ集団に抗争を挑む。ヒットしたのはコメディータッチで、前述した内心忸怩(じくじ)たるものをスカッと解消してくれるからだろう。

▶テレビドラマになった有川浩さんの小説「三匹のおっさん」も、定年退職した剣道の達人が、幼なじみの悪ガキ3人組で町内の悪を懲らしめる。男はいくつになってもヒーローに憧れる。まだ老け込んでたまるかと、曲がりかけた背筋がピッと伸びる。高齢化時代の元気の素である。