子・孫が語る昭和の首相

(5)大平正芳「あーうー」には理由があった 婿の森田一氏が語る

 答弁や演説の際に発した「あーうー」には理由があったという。

 <大平は自分の発言が日本、全世界にどういう影響があるかを考えた上で初めて一言を発していた>

 森田も大平に気に入られ、大蔵省入省後に大平の長女と結婚した。首相秘書官のときは、大平がテロに遭ったときにどうやって自分が「盾」となって銃弾を受けるかを真剣に考えていた。

財政再建は「十字架」

 <大平は三木武夫内閣の蔵相時代に、赤字国債を発行したら絶対にダメだと本に書いたのにやらざるを得なかった。一生かかっても、財政再建に全生命を注ぐと思っていた>

 53年12月、念願の首相になった大平は、国の借金の解消を重要課題とした。そこで浮上したのが、現在の消費税につながる「一般消費税」の導入だ。

 54年1月、大平は伊勢神宮を参拝した際の記者会見で一般消費税に言及、続く施政方針演説では「一般消費税の導入など税負担の問題についても、国会の内外において論議が深まることを望んでいる」と述べた。

 野党のみならず、国民の反発は大きかった。それでも大平は訴え続けた。クリスチャンである大平は財政再建こそ自らが背負う「十字架」だと思いつめていたのだ。

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