英総選挙

第3党に躍進のスコットランド民族党 50議席増やす 新たな独立闘争始動へ

 【ロンドン=内藤泰朗】7日の英総選挙では、英国北部スコットランドの地域政党、スコットランド民族党(SNP)が2010年の前回総選挙から50議席増やし第3党に躍進した。民意が多様化する英国社会で、中央政界への強い不満を代弁するSNPの存在感が増していることが鮮明となった。SNPは今後、英国からの独立に向けて再び動き始めるとみられている。

 SNPはスコットランドに割り当てられた59議席のうち56議席を獲得し、事実上の1党体制を実現させた。SNPのスタージョン党首はBBC放送に、「これでスコットランドの声を中央政界に聞かせることができる」と述べた。

 昨年9月に英国からの独立を問う住民投票を主導したSNPは、総選挙では「独立は目指さない」と述べていた。最大野党の労働党と協力してスコットランドへの税制優遇策や経済支援などを取り付ける方針に転換していたためだ。

 しかし、労働党の失速で目算が狂った。保守党を下野させることを最大の目標に掲げていたSNPは今後、戦略の練り直しに動くのは確実だ。

 キャメロン政権は、2017年に欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票を実施すると公約している。しかし、SNPはEU離脱を拒否する意向だ。

 地元メディアなどによると、SNPは、来年5月に実施されるスコットランド地方選挙でも勝利し、政権基盤を強化することを画策している。そのうえで、英国がEU離脱を問う国民投票を実施するのに合わせて再びスコットランド独立を問う住民投票の実施に向けて動く見通しだという。

 SNPが今後も英中央政界を揺さぶってくることは避けられない情勢だ。

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