日本の議論

『ホテルオークラ』建て替えに反対する海外大物セレブたちの「セーブ・オークラ!」

 さらに、海外主要メディアでもオークラ本館建て替えのニュースは報じられ、ワシントン・ポスト電子版は2015年2月2日付で、「オーキッド・バー」を含む本館の魅力をたたえるとともに、「この国の取り壊し文化の最新犠牲者」と辛辣(しんらつ)に表現した。カーサ ブルータスの松原編集長も疑問を呈する。「本館ロビーはオークラの顔。なくしてしまうのは、経済原理で考えても損ではないのか?」

 こうした声に対し、ホテルオークラの広報担当は「現本館が日本のみならず、海外のお客さまから高い評価を得て、これほどまでに惜しむ声を頂いていることに心から感謝申し上げます」とコメント。最新の施設・機能を備えた新しい本館でも「ホテルオークラが大切にしてきた日本の伝統美をしっかりと継承したい」と表明した。

 実は記者も「これが最後かも」と思い、先ごろ本館に泊まってみたが、客室などの設備の古さや老朽化は否めない。しかし階段スペースのタイルや通路の小さな照明など、細部まで行き届いたデザインには先人たちのこだわりが詰まっている。新しい本館も、このようにあちこち探検したくなる空間になるのだろうか。

 広報担当によると、解体し現状確認しないと移設を判断できない部分も一部あるが、「現本館ロビーの佇まいを継承していくほか、インテリア、装飾などにつきましても法律の許される範囲で、新本館に継承していきたい」という。(黒沢綾子)

会員限定記事会員サービス詳細