日本の議論

『ホテルオークラ』建て替えに反対する海外大物セレブたちの「セーブ・オークラ!」

 「将来後悔しないように今、行動を起こしましょう」-。イタリアの高級ブランド「ボッテガ・ヴェネタ」のクリエイティブ・ディレクター、トーマス・マイヤーさんは公式サイト(bottegaveneta.com)にアップされたビデオメッセージで、こう世界に呼びかけている。

 建築に造詣が深く、日本のモダニズム建築を愛するマイヤーさんがとりわけ憂慮しているのが、ホテルオークラ東京本館(東京都港区)の建て替え計画だ。

 高度成長期の1962年に完成したオークラ本館は、建築家の谷口吉郎を筆頭に、当時の建築・デザイン・工芸・美術のトップランナーを集めて建造された、日本モダニズム建築の代表格。設計コンセプトは「世界からの客人を『日本の伝統美』でもてなす」。正面玄関からロビーに入るとまず、古代からの造形「切子玉形」を重ねた象徴的な灯具「オークラ・ランターン」が目に入る。また、少し低くなったメーンロビーには、漆塗りの円卓を囲み5脚の椅子が梅花のように配置され、「麻の葉紋」の木組み格子から柔らかな光が差し込む。モダンでありながら、随所に和の意匠や素材が駆使されたこの空間に、マイヤーさんは「西洋と東洋の完全な調和」を見るという。

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