「礼に始まり礼に終わる」剣道にあって、相手に対する非礼は決して許される行為ではない。「剣道の試合は、互いが『9歩の間合い』で向かい合い、気を合わせて礼をする。その後、開始線まで進み、蹲踞の姿勢を取って、審判の『はじめ!』の合図で始まる。『勝負あり』の宣告後も互いに剣先をはずさず蹲踞し、9歩の間合いまで退いたのち、再び一礼を交わす。この勝ち負けを超えた所作ごとに剣道精神の神髄がある」とある関係者は語る。非は一方的に韓国にあるものの、優勝した日本にとっても後味の悪い戦いを演じた悔いが残った。
「特異」な剣道環境の韓国
韓国には剣道に似た「コムド」という伝統競技がある。一部の韓国人は「剣道の起源は韓国にある」とかたくなに信じ、ライバル心をむき出しにしてくる。武道の心はそっちのけで、ケンカのような様相になるのだ。
剣道の普及では日本に分があり、剣道人口も日本の方が圧倒的に多い。また、韓国の剣道には勝利至上主義が根底にあり、「負けの美学」などという考えは通用しない。「韓国には剣道のプロが存在し、彼らが世界選手権に出場する。日本の場合は、警察官が剣道を優先して稽古できる環境に置かれているが、あくまでも本業は警察官。韓国ほど徹底して剣道に打ち込める環境にいる剣士は限られている」(「剣道世界一への戦い」スキージャーナル)
欠如する武道の精神
史上4度目の記念すべき日本開催だけに、いまから「観るに堪えない前回大会の決勝の再現だけは…」と危惧する声も出ている。試合の価値は両者の「気剣体」が作り出す結晶のようなものだ。相手に対するリスペクトがなくては、残念ながらチャンバラ剣道に成り下がってしまうだろう。
日本代表のメンバーは将来を見据え、10代から30代まで幅広い。代表最年少の山田はこの春、剣道の名門、九州学院から明大に進学した「九州の怪物」といわれる逸材だ。チーム最年長の35歳・内村は4大会連続の出場となるが、年齢的にもこれが「最後の花道」となるだろう。