日本の議論

これは一体どこの国の教科書なのか…新参入『学び舎』歴史教科書、検定前凄まじき中身と素性

 結局、そのまま残した河野談話と、注釈として「強制連行を直接示すような資料は発見されていない」との政府見解を記述する際に「慰安婦」「慰安所」の言葉が使われることになった。学び舎は修正理由を「戦後の曽祖父母や祖父母の時代を正面から考える入り口となる教材をと考えて素材を選び直した」と説明する。

 慰安婦問題はいうまでもなく、朝日新聞の報道が火を付けた。昭和57年に「若い朝鮮人女性を『狩り出した』」などとする自称・元山口県労務報国会下関支部動員部長、吉田清治氏の講演記事を掲載し、その後、この「吉田証言」を少なくとも16回掲載するなどのキャンペーン報道を展開したことから、慰安婦の強制連行説は国内外に広がった。

 先の金学順氏の証言なども含めた朝日報道を受け、韓国メディアも集中的に報道し、慰安婦問題は政治・外交問題に発展。日本政府は平成5年、強制連行説には立たないものの、「慰安婦の募集、移送などは、総じて本人たちの意思に反して行われた」などの表現で強制性を認めた河野談話を出さざるを得なくなった。

 これを契機に、7年度検定の中学歴史教科書では、7社全てが一斉に「慰安婦」「従軍慰安婦」「慰安施設」などの表現で慰安婦問題を記述した。その後、義務教育段階で慰安婦を教えることへの是非などが議論となって記述する教科書は徐々に減少。16年度検定では「慰安婦」という言葉は全社から消え、22年度検定では「慰安施設」もなくなり、慰安婦を扱う教科書はなくなっていた。だが学び舎の参入で11年ぶりに中学校の教科書に「慰安婦」が登場することになる。

朝鮮人の被害だけ「話題の選択が偏っている」

 不合格となった教科書では、「長崎の原爆被害と朝鮮人の被害を学ぶ」と題して戦争遺跡や資料館の見学を促す項目で、1ページを割いて2つの施設を紹介しているが、いずれも朝鮮人の被害だけが書かれており、検定で「話題の選択が偏っている」と指摘された。

 一つは「三菱兵器住吉トンネル工場跡」で、原爆投下時、「5号・6号トンネル内外では、強制連行された約800人の朝鮮人がトンネル掘りの作業をさせられていました」と説明。17歳のときに長崎に連行されたとされる韓国人男性が、このトンネル掘りのきつい労働をさせられたことや原爆で手足にやけどを負ったことなどを書いた。