家族 ハンセン病と生きて(1)

「親の恩を返すには子育てしか」元患者、66歳で母親に…「娘」迎え入れる

【家族 ハンセン病と生きて(1)】「親の恩を返すには子育てしか」元患者、66歳で母親に…「娘」迎え入れる
【家族 ハンセン病と生きて(1)】「親の恩を返すには子育てしか」元患者、66歳で母親に…「娘」迎え入れる
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 新生活を祝福するように桜の花びらが舞い始めた4月7日。静岡県立高校で行われた入学式には、真新しい制服のブレザーに身を包んだ娘を見守る杉山真由美(32)の姿があった。長女の麻衣香(まいか)(16)は「介護の仕事に就きたい」と、福祉を学べる高校を選んだ。真由美と夫の雄次(ゆうじ)(49)が介護現場で働く姿を見て「いいなって思った」という。

 麻衣香のブレザーは祖母、山内きみ江(81)が入学祝いとして贈ったものだ。きみ江はかつてハンセン病を患い、両手足にまひが残る。右手の指は1本もない。だが、料理や裁縫をこなし、パソコンで名刺を作る。自転車やバスに乗ってどこへでも行く。

 孫ほども年の離れた真由美とは血のつながりがないが、66歳で引き取り、子育てにも奔走した。

 「おばあちゃんは地球外生命体」。麻衣香は尊敬を込めて、こう表現する。

 「あの小さかった麻衣香が高校生か…」。笑う真由美のおなかは、ふくらみが目立つようになってきた。口数は少ないけれど真面目な長男の輝希(てるき)(17)、少し反抗期の麻衣香、人懐っこい次男の麗桜(れおん)(5)。9月にはまた一人、家族が増える。

 実は、輝希と麻衣香は昨年8月に杉山家に加わったばかり。訳あって、真由美の兄の子を養子縁組したのだ。決して楽な生活ではなかったが、2人を迎え入れることに迷いはなかった。ハンセン病の後遺症や社会の偏見と闘いながら、身寄りのなかった自分を引き取り、育ててくれた両親の背中を見てきたからだ。

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