怪奇小説「怪談」で知られる作家・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン=1850~1904年)のひ孫で、島根県立大短期大学部教授の小泉凡(ぼん)さん(53)が4日、和歌山県広川町広の「稲むらの火の館」で「オープン・マインドで生きる-濱口梧陵と小泉八雲をめぐって-」と題して講演した。「八雲のように梧陵の防災の精神を世界に発信してほしい」と訴えた。
小泉八雲は明治時代にジャーナリストとして来日。退職したのち日本の中学校で英語教師などをするかたわら、「耳なし芳一(ほういち)」や「雪女」などを日本の怪奇話を収集し「怪談」にまとめた。多くの著作を通じて日本の文化を世界に発信した。
濱口梧陵は安政南海地震(1854年)の際に稲束に火を放ち、住民を高台に誘導することで津波の被害から村人を救った豪商。同館によると、明治29(1896)年6月の明治三陸大地震による大津波に衝撃を受けた八雲は、梧陵をモデルにした「A LIVING GOD(生神様)」という著書を英語で執筆。地震と津波の危険性を世界に発信し、「TSUNAMI」という言葉が広まったという。
講演には地元の人ら100人以上が集まり、小泉凡さんは「小泉八雲のようにグローバルな視点と、怪談や濱口梧陵など地域の文化資源の両方を大切にする視点が重要だ。誇りを持って広川にある魅力を世界に発信してほしい」と話した。