「幸運招く泳ぐ宝石」ニシキゴイがインドネシアにも浸透「ニッポンはクール」

インドネシア西ジャワ州の州都バンドン郊外の養鯉場で飼育されるニシキゴイ(吉村英輝撮影)
インドネシア西ジャワ州の州都バンドン郊外の養鯉場で飼育されるニシキゴイ(吉村英輝撮影)

 端午の節句のこいのぼりで子どもたちに親しまれるコイは、海外でも観賞用魚として人気だ。日本では高齢者の趣味のイメージが強いニシキゴイ飼育も、インドネシアでは日本の魅力を感じる「クールジャパン」の一つとして浸透。購買力が向上した若者を中心にファンを増やしている。(バンドン 吉村英輝)

 西ジャワ州の州都バンドン郊外。住宅街の一角に、同国トップクラスとされる養鯉場「サムライ・コイセンター」がある。経営者のキキさん(51)は「泳ぐ宝石」に魅せられ、趣味が高じて店を開いた。2000年から広島県や岡山県などのニシキゴイ養殖業者と提携し、幼魚や成魚を輸入し販売している。

 建物内の池に近づくと、エサの時間と思ったのかコイが寄ってきた。飼育担当者は「これがコウハクで、こっちがショウワ」と品種を教えてくれた。年間を通じて暖かいためよく泳ぎ、エサ食いもよくなるため、日本より大きく育ちやすいという。1メートルを超す5歳のコイを指さし「60万円以上で売れる」と笑った。毎週末のように各都市で開かれる品評会に出荷される。

 コイはインドネシア語でも「コイ」と呼ばれ、昔から食用として養殖もされてきた。中国系からは幸運を招く魚と信じられ、ペットにもされてきた。だが、観賞用として人気に火が付いたのは、日本から色鮮やかなニシキゴイが入ってきた20年ほど前からだという。

会員限定記事会員サービス詳細