プレミアムビールの代表格であるヱビスは100年以上続いているブランド。しかし、本格的なテレビCMは21年前からと、意外に歴史は浅い。最初に起用したタレントは「マッサン」の父親を好演した前田吟さん。それ以降、クオリティの高さをアピールしたCMを作り続けている。
ヱビスのCMにはすでに、滝川クリステルさんが登場している。滝川さんを起用した理由は、情緒的な側面から上質さを訴求するため。図らずも東京五輪の招致で行った「おもてなし」プレゼンテーションで有名になった。
これに対し、新CMを作成するに当たっては「麦芽100%を使用」「通常のビールに比べて1.5倍の熟成期間を要する」といった商品価値を強調していくことを決めた。3月までサッポロビールのブランド戦略部長を務めていた野瀬裕之・サッポロホールディングス取締役は、「ポッと出のプレミアムビールとは圧倒的にクオリティが異なる点を強調したかった」と振り返る。
そこで重視したのが声。「『この人がメッセージを伝えるのであれば品質は確かだ』といったような、信頼感に満ちた役者さんを選びたかった」といい、松重さんが候補の1人に。松重さんはNHKのBSプレミアムで放映されている「英雄たちの選択」のナレーターを務めており、「その響きが最高によい」と野瀬取締役は常々感じていたからだ。