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世界遺産「熊野古道」の難所として知られる「大雲取越)」の道沿いに鎮座する和歌山県新宮市熊野川町の名所「円座(わろうだ)石」で、前面を覆っていたコケがほぼなくなっていることが3日、わかった。全体が不自然に剥げ落ちていることから、人為的にはぎ取られた可能性が高い。採取に罰則などはない区域だが、地元からは「元に戻るのに5年以上かかるのでは」と、困惑する声が出ている。
大雲取越は、熊野那智大社(同県那智勝浦町)から北へ延びる14・5キロの熊野古道の一部。円座石は幅約5メートル、高さ約2・5メートルで、表面には熊野本宮大社(同県田辺市)の阿弥陀仏、熊野速玉大社(新宮市)の薬師仏、熊野那智大社の観音仏を示す梵字(ぼんじ)が刻まれている。「わろうだ」とは、わらやいぐさなどを丸く編んだ敷物のことをいい、3つの仏が石の上で談笑したと伝えられている。
市教委によると、コケがなくなっていたのは表面の高さ約2メートル、幅約4メートル。昨年12月初めに地元住民が見つけた。市教委が調査したところ、11月末にはコケはあったという。