関西の議論

「商業主義が行きすぎたか」STAP騒動は「ネイチャー」にも問題…日本のトップ3が明かした本音

 自身は、iPS細胞から作製した心筋細胞をシート状にして心不全の患者に移植する臨床研究を2年以内に予定している。すでに動物実験で有効性を確認し、移植した細胞シートが心臓と同調して拍動するメカニズムも解明した。

 澤教授は、あらかじめ備蓄しておく拒絶反応が少ないタイプのiPS細胞を利用した再生医療の臨床研究を計画しており、「実用化を見据えると費用の問題が重要。この方法なら、患者自身から作製するiPS細胞を使うよりも大幅にコストを抑えられるのです」と説明する。

 iPS細胞による再生医療では、移植する細胞に異常がないかを徹底的に調べる必要があり、それだけで億単位の費用がかかることもあるという。そこで、澤教授は「あらかじめ安全性が確認されているiPS細胞を活用できないか」と思案。京都大iPS細胞研究所が取り組む「再生医療用iPS細胞ストックプロジェクト」で備蓄している細胞を提供してもらえるよう協力を求めた。

 通常、他人の細胞を患者に移植すると拒絶反応が起こる。そこで、同プロジェクトでは「HLA型」と呼ばれる細胞が持つ免疫のタイプによって拒絶反応の度合いが異なることに着目。拒絶反応が起こりにくいタイプの細胞を集め、備蓄を進めている。

 平成34年度までに日本人の80~90%をカバーできるだけのiPS細胞をそろえる計画で、再生医療にかかるコストと時間を大きく抑えることできると期待されている。さらに、それらの細胞に遺伝子の異常などがないかを調べておくことで安全性の向上にもなるという。

 「すでに、京都大から臨床で使えるレベルの安全性を備えたiPS細胞の提供を受け、臨床研究へ向けて心筋細胞に分化させる作業を進めています」と話す澤教授。「誰もやったことのない治療だから今は大変だが、いずれ世界中の病院でやってもらうのが夢です」と笑った。

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