関西の議論

「商業主義が行きすぎたか」STAP騒動は「ネイチャー」にも問題…日本のトップ3が明かした本音

 高橋 確かに、以前は研究成果が新聞に載ると誰もが間違いないと信じていましたが、そうではないということが一般の方々にも分かった。もう、密室ではありません。

 STAP細胞の問題についていえば、論文を掲載した権威ある科学誌「ネイチャー」にも問題があった。査読者(多くの科学誌は投稿された論文について科学的な意義や根拠の十分さなどをチェックする査読を専門家に依頼した結果を参考に掲載の可否を決める)は掲載に慎重だったらしいが、新しいことを載せたいという商業主義が行きすぎてしまったのかもしれません。

 上本 そういった点では、私たちも科学誌の査読をやっていましたが、怖くなりますね。基本的に、論文には本当のことが書いてあると思って性善説で評価しますから。

 高橋 性悪説では、とてもできませんよね。ただ、もし研究不正があっても普通なら再現性がないということで自然と消えていくものです。ところが、STAP細胞の問題では社会を巻き込んでしまった。そこが大きな問題だったのではないでしょうか。

 --最先端の研究を進める立場から一般の国民に伝えたいことは

 高橋 新しい医療を始めるときには、医師や研究者だけでなく国民の皆さんの理解がないと、うまくいきません。日本の医療のレベルは非常に高いが、ひとつ問題が起こると「ほら、やっぱりダメじゃないか」という方向に流れる傾向があるのが心配です。効果とリスクをきちんと評価するという考え方が育ってほしいと思います。

「実用化してこそ意味がある」

 iPS細胞による心臓の再生医療に取り組む大阪大大学院医学系研究科長・医学部長の澤芳樹教授は「医学の研究者は論文を書いて終わりではない。日常の医療として実用化してこそ意味がある」と語る。

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