2月6日までの日程でソウル市の朴元淳市長が日本を訪れたのに合わせ、東京都は2日、ソウル市と「道路陥没対応業務、技術的協力に関する行政合意書」を締結した。双方が都市の安全に向けて、お互いに技術を供与するという内容だ。道路陥没が社会問題となっているソウル市に、東京都が救いの手をさしのべた形だが、日本の道路点検・補修技術は韓国に比べ20年以上進んでいるとされる。相互協力とは名ばかりの一方通行の支援となりかねない。
ソウルの陥没、都道の100倍超
「地下調査はどこがやっているのか?」「事業者の選定は?」
東京都文京区の地下鉄春日駅前に近い道路を視察した朴市長は、同行した都の幹部に次々質問した。この道路は昨年、直径約2メートル、深さ40センチにわたって路面が陥没した現場だ。人や車両への被害はなく、まもなく復旧した都の対応は、今回、訪日した朴市長にとって最大の関心事だった。
近年、ソウル市では下水道の老朽化などが原因とされる道路陥没が毎年約30%のペースで増加。2010年に435件だったが13年は854件に、14年は1~7月で568件と被害は拡大しつつある。
昨年8月にはソウル市の教大駅付近で、深さ約1メートルの陥没に走行中の乗用車が落ち込む事故もあった。道路陥没に伴う交通事故は、過去10年で2000件超に上ったとのデータもあり、大きな社会問題となっている。