憲法特集・前編

「今に見ていろ」ひそかに涙 白洲次郎 GHQ原案に悔しさ

白洲次郎(左)と白洲がGHQ民政局長のホイットニーに宛てた「ジープウエーレター」。タイプライター(中央上)で白洲が自ら打ったといわれる
白洲次郎(左)と白洲がGHQ民政局長のホイットニーに宛てた「ジープウエーレター」。タイプライター(中央上)で白洲が自ら打ったといわれる

 現憲法は3日、施行から68年がたった。改正国民投票法の昨年6月の施行により、国会が発議すれば、憲法改正の国民投票はいつでも実施できる環境が整っている。国民が最高法規の内容を決めるのは、数年内に行われるであろう国民投票が憲政史上初めてとなる。「民定」と評される現憲法だが、実は国民が定めたものではない。その原案は占領下、日本人のあずかり知らぬところで作られた。

 「原案をGHQ(連合国軍総司令部)の素人がたった8日間で作り上げた代物」。安倍晋三首相は現憲法をこう評し、日本人の手で憲法をつくる大切さを説く。これに民主党は「ガキの議論だ」(枝野幸男幹事長)などと反発している。だが、昭和21年2月4日にGHQ民政局が作成に着手した原案は、同月13日に日本政府に提示されており、首相の認識は間違っているわけではない。

 当時、日本政府は明治憲法をベースに改正案作りを進めていたが、占領軍はそれを否定。この短兵急な、憲法作りへの介入に、一矢報いようとした先人もいた。

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