日本の議論

危険ウイルス研究施設動けぬ日本、「このままでは中国にアジアの感染症研究リードされてしまう」の懸念

新たな建設計画も

 国も長期的には別の場所に最新のBSL4施設を稼働させることを目標にしている。しかし、「土地の選定から建設まで予算も時間もかかり、当面は現在ある施設を稼働できるようにするのが現実的だ」(厚労省幹部)との立場だ。

 ただ、新たにBSL4施設の設置を計画する機関もある。感染症研究に力を入れる長崎大は現在、BSL4施設の建設をめざし、市民への説明会などを進めている。担当者は「大学は教育機関でもあり、人材育成の観点から見てもBSL4施設が必要だ」と話す。

 日本の細菌学の父といわれる北里柴三郎を筆頭に、赤痢菌を発見した志賀潔、黄熱病研究の野口英世など、感染症研究で名を残した日本人は多い。今や感染症は国境を越え、短期間で世界に広がる恐れがある。国内のみならず、世界を感染症の脅威から守るためには、BSL4施設稼働にとどまらず、研究者の育成など総合的、長期的な戦略を考える必要がある。

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