舞鶴市余部下の画家、稲岡博さん(65)が考案した「立ちビリケン像」が、本場の大阪・新世界の通天閣近くに設置された。高さ3メートルを超える大きなビリケンさんが、市民や観光客らの注目を集めている。
稲岡さんが立ちビリケン像を作り始めたのは、4年前の3月11日に発生した東日本大震災がきっかけ。震災直後に稲岡さんの友人宅で、友人が座っているビリケンさんに「こんな時に座っててどないするんや」と呼びかけたのを聞いて、「ビリケンさんが立てば、被災地や日本が元気付くのでは」と、立ちビリケン像作りを思いついたという。
「絵の経験はあっても、それまで彫刻は作ったことがない」という稲岡さんだったが、試行錯誤の末、紙粘土で形を作り、金箔(きんぱく)や金色の塗料で仕上げた立ちビリケン像を制作。次女が岩手県盛岡市に住んでいたこともあり、東日本大震災被災地の幼稚園や役所などに贈った。
その後、近畿地方を中心に全国各地から依頼があり、「被災地の復興だけでなく、町おこしや商店街の活性化などに役立ててもらいたい」と、約80体を全国各地に寄贈。その中には、ビリケンさんの本場、大阪・新世界も含まれており、通天閣にも立ちビリケン像が置かれている。
今回の立ちビリケンは、飲食店経営の「HASSIN」(大阪市浪速区)からの依頼で制作。昨年12月に稲岡さんにファクスが届き、通天閣近くの串カツ店「横綱 通天閣店」に3メートルの像を設置したいと書かれていた。そこで稲岡さんは、店名にちなんでまわしをつけ、元気に右手を突き上げた立ちビリケン像をデザイン。4月に通天閣近くの同店前にお目見えした。
3メートル超の立ちビリケン像はさっそく、観光客の記念撮影のスポットになるなど人気。稲岡さんは「舞鶴発の立ちビリケンで全国を元気にするため、これからもビリケンさんを作り続けたい」と話している。
問い合わせは、稲岡さんが代表を務める京都立ちビリケン工房(電)090・5134・9849へ。