かつて公認会計士試験に合格したにもかかわらず就職できない人たちがあふれかえった時期があった。それが今では、受験離れが進んで合格者数の落ち込みが激しく、主な受け皿となっている監査法人が人材確保に苦慮する事態となっている。背景には、かつての就職難のイメージを払拭できないことに加え、需要が増加すると見込んだ金融庁の見通しの甘さも指摘されている。公認会計士を取り巻く環境はどのように変化してきたのか。(田中俊之)
「年間2千~3千人の試験合格者を」、構想は描いたが…
「平成30年ごろまでに公認会計士の総数を5万人程度の規模と見込むこと」
「年間2千人から3千人が新たな試験合格者となることを目指すこと」
これは、有識者らでつくる金融庁の金融審議会公認会計士制度部会が14年12月にまとめた報告書の内容だ。将来の適正な公認会計士の数を算出することは困難としながらも、金融庁に一定の目標と見通しを持つよう提言。監査法人だけでなく一般企業でも会計士の需要が広がっていくとの期待もあった。