「献体」希望が高齢化で増加…「火葬費を負担してくれる」の声、終活ブームも

家族に迷惑かけたくない

 献体増加の背景にあるとみられる死生観の変化。多様化する死は、さまざまなシーンに現れている。

 葬儀では、近親者だけで執り行う「家族葬」が、核家族化が進む都市部で主流となりつつある。通夜・告別式を行わず、火葬場で荼(だ)毘(び)に付すだけの「直葬」は費用が安く、故人が生前に強く希望するケースが少なくない。樹木を墓石の代わりとして埋葬する「樹木葬」も、死後に自然に回帰できるスタイルとして人気を集めている。

 葬儀の簡素化ととれるが、神戸医療福祉大学の近藤勉教授(高齢者心理)は「極力意味のない儀礼をやめ、家族への負担や迷惑を軽減することを美徳とする現代人の考えが見て取れる」と指摘。献体も含め、「生や死の形に執着しない人が増えた」という。

 「近年の『虚礼廃止』の傾向や、年金減額などの厳しい経済情勢も重なった」としながらも、自分の人生を見つめ直し、人生の終末に向けた準備を進める「終活」ブームの影響もあると分析。「終活は、よりよい最期を願う人にとってごく自然な考え。高齢者が献体を望むのも無理はないのだろう」としている。

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