特別区で見込まれる再編効果額は17年間で2630億円。一方、最初にかかるコストは庁舎整備費など約600億円、システム運用経費など毎年のランニングコストは約20億円に上る。ここに今後見込んでいる税収増、米映画テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(USJ、大阪市此花区)内の土地など市有地売却も加味した結果、約2762億円の財源が捻出されるとしている。
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反対派「まやかし」
設置直後は再編コストが負荷となり、33年度まですべての区で収支不足が続く。赤字総額は約858億円に上り、市有地売却や借金などへの依存度が高い。一方、34年度は効果額の増加や景気回復によりいずれの区も黒字に転換し、それ以降は赤字に転落することはないとしている。
だが都構想に反対する自民党、公明党、民主党、共産党は再編効果額の大半は大阪府市体制でも行える改革の効果が含まれていると反論し、その代表格として市営地下鉄の民営化を挙げる。さらに2762億円の「財源創出」に市有地の売却益を組み込んでいることも不適切と批判している。
シミュレーションのベースとなっている市の財政収支推計も不確実性をはらんでいると指摘。例えば、大阪市が続いた場合の34年度の収支不足額についてみてみると、24年の発表資料では179億円としていたが、25年は221億円、26年は36億円、27年は65億円と大きく変動している。