グローバルインタビュー

「漁師、活動家、街宣車、太地町では異文化が衝突していた」…「クジラ映画」制作するNY在住の佐々木芽生さんの訴え

 世界中から日本の捕鯨やイルカ漁に対する厳しいまなざしが注がれる中、米ニューヨークに在住する女性映画監督が「クジラ映画」の制作に挑んでいる。「ハーブ&ドロシー」シリーズで人気を博した実力派のドキュメンタリー映画監督、佐々木芽生(ささき・めぐみ)さん。現代アートの傑作を収集して、若き芸術家を支援していた米国人夫妻を題材にした「ハーブ&ドロシー」は、映画批評家、アートファンの間で評価され、米国の映画祭では賞も受賞した。逸品を愛でる美の世界から、クジラをめぐる衝突現場へ。佐々木さんは映画制作にあたり、今回、クラウドファンディングという手法でサポーターから資金を募っている。制作のきっかけは、和歌山県太地町の追い込みイルカ漁を隠し撮り手法で描き、2010年にアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した「ザ・コーヴ」(ルイ・シホヨス監督)だった。4月初旬、映画作りのため、来日していた佐々木さんにインタビューした。(佐々木正明)

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 --和歌山県太地町の追い込みイルカ漁については、アカデミー賞作品である「ザ・コーヴ」で世界中に知られるようになりました。今ではシー・シェパードをはじめとする反捕鯨活動家が年間100人以上もこののどかな港町を訪れるようになっています。佐々木さんはこの映画をどこで鑑賞したのですか?

 「2009年、米国で公開されたとき、ニューヨークの映画館で見ました。米国で有名なサンダンス映画祭で賞を取ったことは知っていたし、和歌山県太地町のイルカ漁を題材にしていたので、関心がありました。見終わったとき、実は見事なストーリーだ、と圧倒されてしまいました。ハリウッド仕込みの隠し撮りの手法でイルカが殺されていく様子を『俺さまが正しい、漁師たちが悪なのだ。悪を退治してやろう』と描いているように思えました。退治する相手が権力者だったらそんな感情はわいてこなかったでしょう。でも太地町の漁師たちは普通の人たちです。ドキュメンタリー作品を制作する映画監督として一方的な伝え方に強い違和感を抱きました。

 太地町が古式捕鯨発祥の地だということは以前から知っていました。のどかな港町が『ザ・コーヴ』のおかげで世界中のスポットライトを浴びている。米国ではこの映画の報道ぶりが言いたい放題になっているような印象も受けました。しかし、ニューヨークでは、日本から有効な反論は聞こえてきませんでした。日本政府も政治家も誰も反論しているようには感じなかった。唯一反論していたのは、太地町の三軒一高町長だけだったようにも思います。米国のメディアでも町長の声明は取り上げられ、勇気ある人だな、ちゃんとやるべきことやっているなと思いました」

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